造船関連事業者への復興支援

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「自分の船で再び海に出たい」という漁師の思いに応える

東日本大震災で津波被害を受けた南北1,000キロにわたる沿岸部は、日本有数の水産業、漁業の盛んな地域。多くの人が直接的に、あるいは間接的に海に関わる仕事で生計を立ててきた。こうした人々が海と関わる生活や文化を維持し、あるいは取り戻すことを目指し、日本財団は、被災地域の海に関連する事業者に、事業再開に向けた支援を行うことにした。
このうち、「被災造船関連事業者への再生支援プロジェクト」は、壊滅状態となった造船所とその関連事業所の再生に焦点を当てて、震災後4ヵ月が経過した7月から実施。
造船業は、漁業、水産業を下支えする産業でもあり、漁船の新造、修理の需要が高まっていた。造船業は部品製造業者も含めると、雇用の受け皿としての役割も大きく、支援対象エリアでは、造船所で37社約2100人、舶用工業で150社約2200人に上る雇用が見込まれた。9月より順に、支援設備・機器の贈呈を開始し、3ヵ月後の2011年12月時点で、各地の製造能力は、被災前のおよそ5割にまで復旧したという。
支援が早期復旧に非常に効果的であったと評価は高い。しかし、津波被害の傷は深く、再開された操業が暫定的なものにとどまっているのも事実だ。沿岸部に残る造船業は、大規模損壊に加え、地盤沈下のため船台が10~20%浸水。大型船を製造受注するようなレベルまでの復旧にはさらなる支援が必要だった。

本格復興を加速するため国の補助事業を受託。
設置した「造船復興みらい基金」からの補助により、造船所の工場建物などが本格的に復興しつつある。

2013年7月には、被災した造船関係事業者の本格復興を支援するため、復興庁・国土交通省から、造船業等復興支援事業費補助金約160億円を受け入れて、「造船復興みらい基金」を設置し、合わせて事務局業務も受託した。
同基金は、複数の事業者が共同で設備を集約整備することにより、投資額を抑えた形で復興を目指す造船関係事業者に対し、その費用の2/3を日本財団が補助するものだ。
2013年8月から2015年3月末まで募集を行い、期間中に応募のあった全8グループの造船関係事業者に対し、震災で被災した工場建物、クレーン等の造船所設備の整備費用合計約169億円のうち約113億円について、「造船復興みらい基金」からの補助金交付決定を行った。交付決定した8グループの整備事業のうち、2016年度末までに宮城県石巻市など6グループの施設が完成、残る気仙沼市などの2グループについても施設等の完成に向けて建設工事実施中。

地域の基幹産業である水産業。これを支える重要な産業インフラである造船関係事業者の本格復興の加速が期待される。

造船復興みらい基金(造船業等復興支援事業費補助金)交付決定実績一覧表

(2017年4月30日現在)

補助事業者名 内容 補助金交付決定額
(補助対象経費)
決定日 完成予定日
佐藤造船所・及川電機合同会社
宮城県石巻市
工場建物、
天井クレーン他
458,979,995円
(688,470,000円)
2014年2月10日
2014年9月24日変更
2016年6月8日変更
2017年3月
株式会社南三陸造船鉄工
宮城県南三陸町
工場建物、倉庫、
上架設備他
96,497,000円
(144,750,000円)
2014年9月24日
2015年9月25日変更
2016年8月
マリン遠山合同会社
宮城県石巻市
工場建物、
上架設備他
111,225,976円
(166,838,968円)
2014年9月24日 2015年6月完了
株式会社鈴木造船所
宮城県石巻市
工場建物
船台
艤装岸壁他
2,015,333,332円
(3,023,000,000円)
2015年2月27日
2015年11月19日変更
2016年5月20日承継
2017年3月
合同会社大船渡ドックケミカル
岩手県大船渡市
工場建物
船台
ウインチ他
178,600,000円
(267,900,000円)
2015年3月12日 2016年10月
合同会社コーシンケミカルシステム
岩手県大船渡市
工場建物
ウインチ
クレーン付トラック他
29,254,171円
(43,881,260円)
2015年3月12日 2015年11月完了
株式会社 聖人堀鉄工所
宮城県石巻市
工場建物
護岸
揚船設備他
1,386,030,655円
(2,079,046,000円)
2015年4月22日
2016年3月18日変更
2017年3月
株式会社 みらい造船
宮城県気仙沼市
工場建物
揚船設備
桟橋他
7,033,333,321円
(10,550,000,000円)
2015年5月26日 2017年3月
補助金交付決定額合計 11,309,254,450円
(16,963,886,228円)
合計 8件

※なお、本基金に関連して、2015年度事業として気仙沼市に8億円の支援を行った。

 

プロジェクトデータ(2017年4月時点)

  • 事業名
    [1] 被災造船関連事業者への再生支援プロジェクト
    [2] 造船復興みらい基金(造船業等復興支援事業費補助事業)
  • 実施団体
    [1] 大船渡地区造船及び造船関連事業協議会、八戸地区造船及び造船関連事業協議会、東北気仙沼地区造船及び造船関連事業協議会、石巻地区造船及び造船関連事業協議会、いわき地区造船及び造船関連事業協議会、(社)日本中小型造船工業会
    [2] 日本財団(受託事業者として)
  • 期間
    [1] 2011年7月~2013年7月
    [2]2013年7月~2017年3月 (募集期間は2015年3月まで)
  • 場所
    岩手、宮城、福島、東京都
  • 拠出総額・リーチ先
    [1] 約13億5253万円 被災地域5ヵ所の各造船協議会に加盟する造船関連事業者計約100事業者
    [2] 被災地域の中小造船事業者8グループ 約113億925万円
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