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水産漁業の再生基盤を!多機能水産加工施設「MASKAR(マスカー)」整備プロジェクト

巨大な多機能水産加工施設「MASKAR(マスカー)」カタールフレンド基金「水産業」カタールフレンド基金「水産業」

20億円で、女川町に多機能水産加工施設を建設

日本財団は「カタールフレンド基金」の復興事業パートナー第一弾として20億円で宮城県・女川町に多機能水産加工施設をつくった。『カタールフレンド基金』(総額1億米ドル)は、カタール国によって東日本大震災の復興支援のために設立され、2012年から2014年の3年間にわたって、『子どもたちの教育』『健康(医療)』『水産業』の3つの分野を支援する予定。

日本有数だった女川町のサンマ漁、大震災でダメージ

被災地は日本で最も水産業が盛んな地域だった。特に女川町は日本有数のサンマの水揚げで知られ、ホヤなどその他の水産物の水揚げも多く、人口の約半数が水産業に携わってきた。しかし、大震災で水産加工工場が激減。2011年はかろうじて漁港として営業を再開したものの、冷蔵設備がなく、少量しか魚を受け入れることができなかった。多くの漁業者が女川に水揚げしたくてもできない状況で、魚市場や小売、流通業者などにも影響が出た。当時、全体の雇用も1300人から300人に落ち込み、人口流出にも大きな影響を及ぼしたと考えられる。
そのため、水産加工施設の再整備を行うことが、水産関係者の悲願となった。

津波にも対応した多機能水産加工施設MASKAR

カタールフレンド基金の資金提供によってつくられたのは、巨大な多機能水産加工施設「MASKAR(マスカー)」。マスカーはアラビア語で、カタールで行われていた伝統的漁法を指す。サンマ漁が最盛期を迎える2012年10月に完成した。
7,760平方メートルの敷地に建てられたMASKARは、建築面積3,357平方メートル、延べ床面積6,932平方メートルの鉄骨3階建て。サンマを水揚げしてから出荷するまでの冷凍、保管といった諸工程は、これまで別々の施設・設備で行われていたが、MASKARではそれを一括して処理できるようになった。
さらに画期的なのは、柱の数や耐性(太さ)を強化し100年に一度と言われるレベル1の津波にも耐えるだけでなく、1階の外壁パネルが、津波が来たときに外れ、「津波を受け流す」ことで上層階の人命と保管されている水産物を守るという新しい構造をもつ災害対応型施設であることだ。1階に一日当たり水産物凍結能力50トンの凍結庫、仕分けスペース、事務所、2階に冷却能力マイナス30℃の冷蔵室4室(貯蔵能力6000トン)、3階に非常用の飲食料などを備えた避難スペース、機械室などを配置。太陽光発電システムもある。
また、最先端の国際的食品安全基準を満たしており、今後、女川町の水産加工品のブランド力向上と国際的マーケットの開拓にも貢献できると考えられている。

MASKARが描く水産業復興の希望

長期的な視点ではMASKARができたことで、女川町の水産業界で670人の雇用と130億円の経済波及効果が見込まれるという。既にサンマの受け入れも始めており、再び日本トップクラスのサンマ水揚げ量を目指す。
地元の漁業者たちは、建設作業が進むのを見て希望をもったと語る。建物が日々形になっていくのを見たことで女川に留まる決心ができたという漁船を失った漁師や工場を失った水産加工場の経営者も少なくない。MASKARを礎に、町民一丸となって町の再生を果たしたい、異国からの大きな支援に感謝する、といった声も多く聞かれる。
MASKARは復興のシンボルとなりはじめている。復旧工事の需要が多く、資材や作業員の確保にも困難が伴うなか、着工から半年強で期限を守って竣工したというMASKARのスピード感は、防潮堤の修復など女川町内の他の復興工事の早期実現の呼び水となった。こうした一連の動きは、被災地の水産業再生モデルとなり、復興が停滞している他の地域への刺激となっている。さらに、着実な復興の進展によって、MASKAR一帯を水産加工業に関わるすべてのプロセス(水揚げから、加工、冷凍、出荷前検査から流通まで)を一貫して行える、水産加工団地として発展させるための国家予算もつき、準備が進んでいる。

プロジェクトデータ

  • 事業名
    カタールフレンド基金「水産業」
  • 実施団体
    カタールフレンド基金
  • 期間
    2012年2月~2012年10月
  • 拠出総額
    20億円
  • 関連URL
    カタールフレンド基金
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