


一人でも多くのボランティアに被災地へ向かってもらう
東日本大震災のような甚大な災害においては、一人でも多くのボランティアが現地に入り、支援活動を行うことが被災地の復興にとって必要不可欠であった。そこで日本財団は緊急支援策の一つとして、一事業100万円を上限としたNPO・ボランティア団体への助成を行った。
書類審査のみで迅速に活動資金を提供
なるべく早く活動資金を提供するため、原則書類審査のみで迅速に多くの団体を支援する枠組みを作った。また、助成の審査は公募締め切り後に一斉に行うのではなく、いち早く現地に足を運んでもらえるようにと随時行った。震災から1ヵ月後の4月11日に第1弾の33件を発表後、19日に47件、26日に67件、5月13日に101件、31日に68件、6月13日に84件、24日に71件、30日に79件、8月10日に145件の助成決定を発表した。
3月29日の支援発表から5月末までの期間は、とにかく多くのボランティアに被災地に向かってもらうことに重点を置いて助成先を決定した。
6月に入り、変わりゆく被災地の状況を受けて、審査方針を [1]被害の大きな3県(岩手、宮城、福島)を主な活動拠点とする団体が実施するもの。[2]中長期的な視野に立ったもの。[3]新たなコミュニティーの形成につながるもの。[4]障がい者・高齢者に対するものや、被災者の心のケアに関するもの。―—の4点に変更した。



651団体695事業に緊急助成
4月1日から6月30日までの公募期間で、支援数は651団体695事業、助成金総額は6億5,730万8,462円であった。この支援により、多様なNPO・ボランティアが持つリソースをいち早く被災地に届けることができた。
今回のNPO・ボランティア支援で心苦しかったのは、限られた予算の中で審査方針に基づいて支援する事業を決めるため、支援できない事業が数多くあったことである。2000を超える事業の申請をいただき、公募締め切りの6月30日には1日約400件もの申請を受けた。支援できなかった団体でも、担当者と話をすると「被災者のために何とか役に立ちたい」という思いが伝わってきた。
助成団体へのアンケートの結果を分析すると、今回の東日本大震災では明らかにこれまでと違う傾向が見て取れる。「ボランティア元年」といわれた17年前の阪神・淡路大震災との比較をするならば、この間の非営利セクターそのものの成長以上に、社会全体の変化、つまり非営利的なるものに対する人々の認識がより身近なものになったことが見いだせる。いわば東日本大震災を通じた「ボランティア革命」が起こっている。また、さまざまな専門性を持った民間団体が被災地に駆けつけ、現地と連携して中長期的な活動を展開するケースも多くなっており、緊急期の活動助成だけでは制度として十分でないことも明らかだ。地域の自律的な復興を踏まえた、これからの支援のあり方が問われている。
プロジェクトデータ
-
- 事業名
- NPO・ボランティア団体への緊急活動助成事業
-
- 実施団体
- 約650の非営利活動団体
-
- 期間
- 2011年4月1日~ 6月30日(公募期間)
-
- 場所
- 主に岩手、宮城、福島の3県
-
- 拠出総額
- 約6億5,700万円