ダイムラーAG寄贈の特殊車両による復興支援事業

震災直後、被災地の悪路での移動手段が求められた

ダイムラーダイムラーダイムラー

震災から1ヵ月後、被災地のがれき処理や魚市場の整備、悪路での移動手段の確保を目的として、ダイムラー社は、メルセデス・ベンツのゼトロス、ウニモグ、Gクラスなどの車両計20台をドイツから日本へ輸出。この20台は、国内の排ガス規制や車両規制を満たさないが、災害支援を目的とした2年間の期限付きという条件の下、緊急措置が取られた。これに、ダイムラーのグループ会社の三菱ふそうトラック・バス社の小型トラック・キャンター30台を加えた計50台が、震災の可及的な復旧支援をするNPO法人や自治体などの27団体(当初決定数)に貸与され、復興の現場で活躍した。

こういった緊急時の対応から1年が経つと、現地の使用ニーズも変化してくる。また、現地に入っていた多くの団体が区切りをつけ被災地から撤退していく一方で、地元の団体・事業者などの自律的な活動が求められるようにもなっていた。こうした状況を受け、緊急復旧の第1フェーズを終えた車両は、継続支援を行うNPOの他、地元の事業者にも新たに貸与された。

継続支援を決めた団体等による、震災2年後の活動

ダイムラーダイムラーダイムラー

今回の震災で多くの人が車両も失った。被災地域の事業者たちが、事業を再開する上で、移動・運搬手段として、アームやウインチなどの特殊機能を持つ車両それぞれが重要な役割を果たす。
震災2年目。被災地支援が緊急時の第一フェーズを過ぎ、各地域の自律的な復興を支援するということで、多くの車両が新しい団体に活用された。
これらは一例だが、アームを持つゼトロスは、一つ60キロはある土嚢(どのう)を運ぶなどを期待して気仙沼の定置網組合に譲られ、ウインチを持つウニモグは津波の塩害で枯れつつある居久根(イグネ)の伐採での安全確保に使われた。Gクラスは、引き続き、被災者を支援し続けるNPOなどの足として残った。

2年の特別措置期間が終了。一部の車両は、自動車博物館等へ。

ダイムラー

2013年5月。ダイムラーの特殊車両は2年間の時限が来たため、その役割を終了した。活用していた団体から惜しまれつつも、その役目を終え、廃車され、一部は石川県の自動車博物館等に寄贈された。
また、三菱ふそうトラック・バスのキャンターは、引き続き活用されていく。
車両の新たな譲渡先は、地元の行政機関であったり、事業再開に動く被災事業者へとなってきた。新しい譲渡先の一つの例を挙げると、宮城県の七ヶ浜で活動を続けてきたNPO法人レスキューストックヤードが利用していた、三菱ふそうトラック・バスのトラック・キャンターが、約200キロメートル北に位置する岩手県大槌町の漁協組合としいたけ農業組合に引き継がれた。ともに地元の事業者からなる組織だ。
震災により甚大な被害を受けた大槌町では、業務車両を事業者一人ひとりが必ずしも所有していないため、たとえ、ウニを収穫しても魚市場まで運ぶことができない人が出てくる。組合として車両を持つことで、個別の事業者が必要な際に貸与できる。たとえば、市場にウニが水揚げされる日も、市場から遠く離れた吉里吉里地区の事業者たちは運ぶことができない。吉里吉里地区の漁協組合の事務所に運ばれたうにを、新漁協の担当者が、市場までまとめて運ぶなどをしている。この際、2トンクラスの車両を活用できるメリットは大きい。
また、別の車両は、同大槌町のしいたけ組合に送られた。大槌町は、福島県とおよそ300キロメートル近くの距離にありながら、一部の地域がスポット的に放射線量が高く、しいたけは出荷できなくなっている。事業を再会する際には、被曝したホダ木を処分する必要があり、その畑からそれを持ち運ぶために譲り受けた。
もちろんこれはひとつの例だが、復興のニーズが変わっていく中、こういった地元の事業者のために活用されている。

プロジェクトデータ

  • 事業名
    ダイムラーAG寄贈の特殊車両による瓦礫撤去・物資運搬支援事業
    ダイムラー寄贈車両の整備事業
  • 寄付者
    ダイムラー基金
  • 期間
    2011年4月~2013年8月
  • 場所
    岩手県、宮城県、福島県、茨城県
  • 拠出総額
    約4億8,000万円(空輸代含む 車両相当額)
  • 関連URL
    http://www.nippon-foundation.or.jp/what/spotlight/tohoku_earthquake/story3/
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