


被災者の心と体をほぐす足湯ボランティア
震災がつなぐ全国ネットワーク(震つな)は、阪神・淡路大震災を機に、災害発生時に共に働くことを目的に結成されたネットワーク組織だ。震災で心の痛手を負った被災者は心がふさぎがちで、本音を聞き出すことが難しい。支援ニーズの把握ができなければ、的確な支援の実施も困難だ。この両方の課題を解決する上で有効なのが足湯だ。
足湯は専門的な知識や設備がなくとも実施できる、参加しやすい支援活動だ。日本財団は、震つなの推奨する足湯ボランティア派遣活動を支援した。活動を通じて、2年間で1,900人もの足湯ボランティアが、十数の拠点に派遣された。ボランティアは10分~15分の足湯の間に被災者の手をもみほぐし、その語りに耳を傾ける。被災者の言葉は「つぶやき」として記録され、2年間で約16,000が集まった。
16,000の「つぶやき」から見えてきた被災者の今
「つぶやき」の内容は、震災体験や死別体験、健康・福祉や生活環境など多岐に渡り、その傾向はニーズの変遷に伴い、時間の経過と共に変化した。集められた「つぶやき」は「週刊つぶやき」にまとめられ、支援者やボランティア参加者に向けて配信された他、行政や専門家にも届けられた。
震災2年目を迎えると被災地への関心の低下が進み、足湯ボランティア参加者は初年度の四分の一程に減少した。一方、メディアによる被災地の報道が少なくなる中、「つぶやき」内容の発信は、被災者の今を伝える重要な情報として機能し続けた。
現在は東京大学被災地支援ネットワークの協力で実施した「つぶやき」の分析結果を参考に、こころの健康の「ガイドブック」(仮称)の作成が進められている。
現地団体を後方支援。被災者に寄り添い、つながり続ける
震つなは、足湯の他に、仮説支援連絡会(東京)や現地情報交換会(岩手宮城福島各地)の開設など、情報共有や連携協力推進に努めている。
震災3年後の今、支援者の集う機会の減少や被災者間の格差の拡大といった新たな課題が浮上している。
震つなは、現地団体の後方支援に活動の軸を移しつつ、今後も各加盟団体や関係者との連携を強化しながら、被災地に寄り添い続けていく。
若い人がたくさん来てくれて、本当にありがたい。ボランティアの皆が頑張っているから、私と話をして笑顔になってくれるとうれしい。
2011年9月5日 陸前高田市・仮設住宅 50代女性 (「つぶやき」より)
ああ色々話して気分が晴れたよ。いつもはこんなに話そうって気持ちにはならないんだけどね。
2011年11月1日 陸前高田市・仮設 50代女性 (「つぶやき」より)
プロジェクトデータ
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- 事業名
- 被災地におけるボランティア活動拠点の整備及び足湯ボランティア等の派遣
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- 実施団体
- 震災がつなぐ全国ネットワーク(震つな)
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- 期間
- 2011年3月~2013年3月
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- 場所
- 岩手県、宮城県、福島県、東京都(広域避難者支援)
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- 拠出総額
- 約1億8,420万円
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- 関連URL
- 震災がつなぐ全国ネットワーク(震つな)